Nightfall / Quercus (ECM 2522)

最近は音楽をオンラインで聴くことが多くなりました. Sportify は聴いてる音楽の傾向からユーザーごとに好みのプレイリストを作成してくれたりしますが、これがなかなか良い音楽との出会いがあるんです.

そんな中でこの作品, イギリスのフォークシンガー June Taborが率いるQuercusの作品Nightfall に出合いました. 毎年いまの時期、冬もそろそろ終わりのころにこの作品を良く聴きます.

Nightfall

ピアノ、サックス、そしてボーカルのシンプルな編成.
Bob Dylan のカバー Don’t Think Twice, It’s All Right (くよくよするなよ) を聴いて、即Amazonで買いました. それほど魅力的な音です.

Don’t Think Twice, It’s All Right

その時はこの題名の意味などしらなかったんですけど、なんだか丸めてた背中を「ぽん」と叩かれたようなような気分でした.

Bob Dylan のオリジナルは不勉強ながら聴いたことが無かったんですが、この機に聴いてました. オリジナルの良さを継承しながら、独自の世界を作っているのは素晴らしい.

ECMの作品はアートワークも素晴らしい

音楽の素晴らしさとともにECM recordsの作品はアートワークも素晴らしいんです.
音楽だけ聴いてるのはもったいない. CDの内ジャケットのポートレートがとても良い.

その場で音が聴こえてきそうな写真、こういう写真が撮れるようになりたい…

この作品はECMとしては珍しく, Manfred Eicherのプロデュースではなく、QuercusのメンバーIain Ballamy と Huw Warrenによるものです. とはいえ、音のカラーは他のECMと全く遜色がありません.

…というか, あれだけ沢山のECMの作品に Manfred Eicher はどれだけ本質的にかかわっているのか、ちょっと個人的に興味があるところです.

Traditional / 英国民謡

本作品は何曲か Traditional (英国民謡) が収録されています.

個人的には1曲目のAuld Lang Syneが好きなんですけど, これは別れの曲で、さらに有名な蛍の光の原曲だそうで、それは知らなかった…

全曲聴いてみると雰囲気は確かに「暗い」ですが、ただ暗いだけではなく、その中に力強さと、何気なく背中を押されるようなものが感じ取れます.

淡々と、そして有り余る歌の力量をひけらかすことなく切々と歌い上げるところ、心が落ち着くと同時に何か応援されているような気分となります.

Quercus

本作品を創り出した3人のユニークなミュージシャンで構成される Quercus.

  • June Tabor – Voice
  • Iain Ballamy – Tenor and Soprano Saxophones
  • Huw Warren – Piano

June Tabor はイギリス・ウォリック出身のフォークシンガー. そのためか、本作品には多くの英国民謡が収録されています. “the dark voiced queen of English folk music” と評されているそうです.

Quercus は2013年のECMでのデビュー作, セルフタイトルの Quercus が2013年 album-of-the-year award of the German Record Critics (ドイツレコード批評家賞) を受賞しています.

こちらの作品を聴きながらこれを書いていますが、こちらも素晴らしいとしか言いようのない作品です. Nightfallよりも少しいろんな可能性を世に示したような作品です, が、しかし有り余る彼らの力量を出し切らず余裕をもって演奏しているところが、なんとも心地よいんです.
それは本作 Nightfall も同じ.

こちらも近いうちにCDを入手してここで紹介したいと思います.

Disc Reviewを書くことは

Disc Review を書く時点で一枚のCDからいろんなことを調べて行くうちに、その作品のバックグラウンドが分かって、さらにその作品の奥深さが分かってくるのはとてもいいですね.