先の記事に合わせて書こうとしてましたが、これは別の記事にした方が良いと判断しました.
今回は住宅財形貯蓄をリフォームに使おうとしたら、いくつもの落とし穴があった、という話
私と同じ轍を踏む方もいらっしゃるかと…少しでも参考になれば幸いです.
Table of Contents
住宅財形とは
住宅財形、正式には財形住宅貯蓄とは?
厚生労働省のページに以下の様に説明されてます.
勤労者財産形成住宅貯蓄(財形住宅貯蓄)
55歳未満の勤労者が金融機関などと契約(1人1契約)を結んで5年以上の期間にわたって定期的に賃金からの控除(天引)により、事業主を通じて積み立てていく持家取得又は持家の増改築(リフォーム)等を目的とした貯蓄のことです。利子等に対する非課税措置(※)があります。
※財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄に係る利子等に対する非課税措置
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のみの場合で、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされます。
我が家では勤務先を経由して某保険会社が運営する財形住宅貯蓄に長年積み立てをしており,今回のリフォームでこの積立を使えばいいや、なんて軽く考えてました…
積み立ててた時期が良いのか、それとも某保険会社の運用が上手かったのか、
ある程度まとまった額の利子が付いてました.
しかしながら、それを非課税で受けるにはいくつかの落とし穴が…
おとなしく払うにしては高すぎる税金…
財形住宅貯蓄のメリットは、積み立てて運用した利子がある一定の条件下で
無税
になるというありがたい制度です.
ご存じの通り、利子や株の配当、売却益には20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)がかかります.
この税金をおとなしく払ってしまえば、以下に述べる落とし穴など関係ありません.
ところが, 支払うべき税金の額を確認したところ
夫婦二人で沖縄旅行に(ちょっと節約したら)行けるくらい
の金額となりました…
みすみす税金に取られるには惜しい、ということで以下の落とし穴との闘いが始まりますw.
非課税措置のいくつもの落とし穴
非課税への道のりに待ち受けるいくつもの落とし穴を、小さいものから大きい順にあげていきます.
550万円を超えると課税される
利息を合わせた金額が550万円を超えないことが非課税の条件となっています.
こちらは我が家では該当してませんし、以前より知っていた条件です.
ただ、この記事を書くときに厚生労働省のページを見て発見したのですが,
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄あわせて元利合計550万円(財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険又は損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円)から生ずる利子等が非課税とされます。
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の合計が550万円を超えない、というのは知りませんでした.
財形住宅貯蓄と同時に財形年金貯蓄を積み立てている方は要注意です.
目的外で払い出すと課税される
住宅の購入やリフォーム以外で払い出した場合、課税の対象となります.
ただし, 目的外で一部を払い出してから5年経過後、目的内利用で全額を使い切れば課税の対象を免れます.
また、災害の被害を受けた場合等、税務署から確認を受けることにより非課税で払出しできるケースもあります. 詳しくは厚生労働省のページを確認ください.
退職後一定期間を過ぎると課税される
定年退職すると勤労者ではなくなるので、新たな積み立てはできません.
そればかりではなく、退職後一定期間を過ぎてしまうと問答無用で課税されます.
その期間は様々な条件があるかとは思いますが私の場合確認したところ1年間でした.
すなわち、定年退職後に財形住宅貯蓄を使って
ゆっくり時間をかけてリフォームしようか
なんて考えているあなた、それは
無理
です. 退職後1年以内に工事を完了する必要があります.
これから定年を迎える方、今すぐ始めましょう.
リフォーム工事の条件から外れると課税される
リフォーム工事の対象となる住宅が床面積が50平方メートル以上であること、費用が75万円を超えるもの、という条件があります.
クロスの張り替え工事などは何か大きな工事とまとめてやった方がよいでしょう.
また、以下のいずれかに該当する工事である必要があります.
- 増築、改築、大規模の修繕又は大規模の模様替
- 区分所有する部分について行う一定の修繕又は模様替
- 一定の室の床又は壁の全部について行う修繕又は模様替
- 耐震基準に適合させるための修繕又は模様替
- バリアフリー基準に適合させるための一定の修繕又は模様替
- エネルギーの使用の合理化に資する一定の修繕又は模様替
この点は契約前にリフォーム工事業者に確認が必要ですね.
登記事項証明書の持分を超えて払いだすと課税される
ここが我々がはまった落とし穴の一つ目です…
財形住宅貯蓄の払い出しを申請する場合、必要書類のひとつに住宅の登記事項証明書があります.
住宅の登記事項証明書に書かれている財形住宅貯蓄の名義人の持分割合を確認しましょう.
財形住宅貯蓄の名義人の持分割合が100%である場合は問題ありません.
これが他の方、例えば夫婦で共同で50%ずつ所有している場合、財形住宅貯蓄は工事費用の50%の払い出しまで非課税となります.
リフォーム費用が300万円とした場合, 夫名義の財形住宅貯蓄は50%の持分割合しかありませんので, 非課税で払い出せる額は、
\[ 300万円 \times 0.5 = 150万円 \]
なんと、リフォーム工事の全額を財形住宅貯蓄でまかなうことが出来ない、ということ.
我が家も夫婦で分割(4:1)で所有していたのでこの落とし穴にまず落ちました…
財形住宅貯蓄を非課税で払い出すためには、4:1 の 1 の部分、費用の20%は手持ちの資金で支払う必要があります…
これは痛い…
手続きして払い出されるまで時間がかかる…
財形住宅貯蓄を払い出すときに必要な書類は厚生労働省のページによると
- 住宅の登記事項証明書
- 当該増改築等に係る工事の請負契約書
- 増改築等工事証明書又は増改築等工事完了届
- 住民票の写しなど
大抵のリフォーム工事業者さんは工事着手前にいくばくかの入金(費用の50%?)が必要となります.
工事完了前に工事の請負契約書で申請は可能ですが、いずれにせよ申請してから払いだされるまで1ヶ月程度の時間が必要です. 工事着手が急がされてるときにはかなり辛い…
また、リフォームでは契約した時点から工事着手する間、工事内容が変更されがちです.
契約した金額と工事完了後に最終的にかかった費用が違う、ということはよくあります.
工事の請負契約書で申請した金額より最終的にかかった費用が安かった場合、これも課税の対象から外される、とのこと.
それをチェックするため、工事が終わったら増改築等工事証明書又は増改築等工事完了届の提出が必要となります.
我が家はこの落とし穴にまんまと落ち、一旦手持ちのお金をかき集めてリフォーム会社さんに支払、工事が完了してから払い出し申請を行うことにしました…
…ということで、財形住宅貯蓄に十分な残高はあっても、
リフォーム費用を一時的に建て替えられる資金が必要…
ということを今回学びました…
国が用意してくれてる制度は良く調べないと、いろんなところに落とし穴がある、ということを60歳を目の前にして思い知った、という次第です.
では
追伸
リフォーム業者と契約を検討しているとき、増改築等工事証明書又は増改築等工事完了届がちゃんと発行してもらえるか、事前に業者に確認した方が良いかと思います.